橘木俊詔『新しい幸福論』(岩波新書)を読んで

 この本の目的は次の文章にあります。
「1980年ごろから2005年あたりまで日本の経済成長率は小さいながらも正の数字が多かったが、人々の生活の満足度(幸福度)は低下してきた。経済的には豊かさを増したにもかかわらず、幸福ではない、という気持ちが高まったのである。そうであるならば、経済成長率を上げることより、國民が心豊かな、幸せを感じるられる政策を考えることのほうがより重要ではないか、という問いが生まれる。」
 アベノミクスは上記の考え方とは真逆の位置にあります。経済成長することが國民を幸せにするという絶対的な公式を安倍首相は信じているようです。かつて読んだ広井良典の著作でも、プラスの経済成長が人々を幸せにするだろうかと投げかけていました。これは、本日の朝日新聞では、佐伯啓思が西田幾多郎を取り上げて、同じような問いかけをしています。
 物質的な消費をもとめる時代は終焉に来ているのだと思います。そういう意味では、資本主義社会の見直しが必要とされているのかもしれません。古典派の資本主義的発想はアナクロリズムなのでしょう。哲学的にはタイトルの著書でも提起されているのに、現実的にはなかなか新たな経済システムが現実になっていかないもどかしさがあります。そういう意味で、先日日本を訪問した前ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカさんは注目を浴びるのでしょう。時代は着実に変化を求めているのだと私はこの本を読んで思います。
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by shin-pukupuku | 2016-06-03 08:44 | | Comments(0)