歴史認識形成から社会認識形成へ

 社会認識教育学会編『中学校社会科教育』(学術図書出版社)を眺めていたら、タイトルの項目内容が目に止まりました。執筆者は竹中伸夫氏であるようです。
 県社研の研究において、N会長と歴史教育について意見のズレがありました。それは歴史学研究のN会長と社会科教育の観点から考える私との立ち位置の違いから来るのかなあと思っていました。タイトルの「歴史認識形成から社会認識形成へ」という項目は、その疑問に対する示唆を与えてくれているような印象を持ちました。
 竹中氏は次のように記しています。
「従来、歴史教育の在り方を巡っては、さまざまな論争がなされてきた。その中に、歴史学の社会科学としての側面を重視し、個々の歴史事象の把握を通じて歴史学の一般的な概念を理解させること、現代社会を認識する際にも活用できる理論としての枠組みを形成させること、が歴史教育の目的であるという考え方と、歴史学の人文科学としての側面を重視し、歴史教育は歴史の一回性や特異性そのものを教えることが望ましいとする考え方との論争がある。前者を社会認識形成のための歴史教育、後者を歴史認識形成のための歴史教育と名付けるならば、従来は歴史認識形成のための歴史教育の立場が優勢であったが、今回の改訂(平成20年版を指す)によって、社会認識形成のための歴史教育へと、歴史教育のあり方に関して、変更を迫ったとみなすことができるからである。」
 上記の文章を読んで、なるほどと思うことでした。つまり、私が社会認識形成としての歴史教育を求めようとするために、N会長は違和感を持っていたのだと思います。歴史ではなく、社会科歴史との違いが溝を生んでいたのでしょう。

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Commented by 佐賀のT中 at 2016-09-19 11:27 x
 最近、加藤公明さんの授業との違いを、授業を物語ると云う視点で考えていたので、社会認識形成と歴史認識形成について書かれているのを読んで、「なるほど、そうだな」と納得しました。ありがとうございました。
 FBにあげていた「授業を物語る」についての内容は、加藤実践と安井実践の違いを考えてのものでした。
by shin-pukupuku | 2016-09-07 09:27 | | Comments(1)