2017年 08月 31日 ( 1 )

 映画の舞台は加計呂麻島です。ストーリーは、後の小説家島尾敏雄と島尾ミホの戦時中の恋物語の話ですが、島尾敏雄が書いた『死の棘』でも、特攻隊長として加計呂麻島に赴任してきた島尾が、死を覚悟しながら、加計呂麻島で小学校の先生をしていたミホとの出会いについて、書いていた場面があったと記憶しています。そして、その恋は、まさしく「生」と「死」のはざまにありました。特攻隊長であった島尾は、おそらく自分が死んでいくことを覚悟していたのだと思います。そんな中で、ミホとの恋はあったわけです。
 当時の島尾の立場で考えると、まさしく「生」と「死」を身近に感じていたことでしょう。戦況がきびしくなっていく中で、その死は目の前にせまっていました。ミホとの恋は、あきらめざるべきものだったのだと思います。
 映像を見ながら私が感じたのは、音でした。どの場面でも、加計呂麻島の自然の音が聞こえていました。鳥のさえずり、虫の音、風に揺れる森の音、そして海の波の音。おそらく、この音が「生」を強く印象付けることに成功していました。それは、裏を返せば、「死」をクローズアップさせるのです。
 出演者は、満嶋ひかりと永山絢斗。二人の演技力に重きをおいた作品でした。しかし、映画のテンポとしては、ゆっくりしたものであったために、私にとっては少し疲れるところもありました。
 加計呂麻島は私が最初に赴任した学校のあるところです。加計呂麻島の風景や海の様子などは、すごくなつかしい感じがしました。しかし、映画の舞台となったところはおそらく別のところで撮影されていたと思われます。
 呑之浦の特攻隊基地については、離任する時期になってやっとわかったことでしたが、このことを当時の子どもたちに伝える力量がなかった自分が残念でたまりません。最初の組合教研で報告したレポートは特攻隊の実践でしたが、内容は知覧の特攻隊を想定したものでした。なぜ、身近な地域にあったこの特攻隊を伝えなかったのか、当時の子どもたちに申し訳ないほどです。
 映画としては、次第に登場人物の心境が見る人に迫ってくるという設定になっていたように思います。72年目の夏に、見る映画の一つではあったと思います。原作の梯久美子は、なかなか良き作品を発表していると思いました。今後も注目したいと思っています。

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by shin-pukupuku | 2017-08-31 09:40 | 映画 | Comments(0)