カテゴリ:映画( 345 )

「追憶」を見て

「鉄道員(ぽっぽや)」「あ・うん」などの作品で有名な監督・降旗康男と撮影・木村大作がタッグを組んだ作品で、岡田准一主演の作品でした。
 見ての第一印象は、まるで松本清張の作品を映画化したようだというものでした。児童養護施設、殺人、約束、再会ーなどのキーワードがこの映画では上げられますが、それらは松本清張の小説のなかでは何度となく出てきたものではなかったかなあと思うことでした。まあ、そのために全体的にトーンが暗いのですが、最後のクライマックスに向けて映画構成は練られていたような気がしました。「あなたの大事にしてきたものは…」という呼びかけは、自分だけのためではなく、人のために生きていくことのすばらしさを教えてくれていたようでした。そして、本当の親子とは何かを考えさせるものでもあったような気がしました。人は過去を思い、過去に悔やみながら今を生きているということなのかもしれません。そのために何ができるのか、それをこの映画は語りかけていたような気がしました。
 全般的には、それほどすごい作品という感じはしませんでした。平凡な作品のような印象を持ちました。最後のクライマックスでは、涙を流す人とそのまま映画館を出て行く人の二つに分かれていましたが、泣いている人は過去になんらかの傷を抱えているのかもしれません。 


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by shin-pukupuku | 2017-05-16 09:18 | 映画 | Comments(0)

ラ・ラ・ランドを見て

 見終わった後の第一印象は素敵な作品だなという感じでした。作品のキーワードは、夢・恋・人生でしょうか。ミュージカルとダンスが作品全体で味付けをしていましたが、なんといっても人生のすばらしさということをこの作品は伝えているような気がしました。

 夢をかなえる人は一握りの人たちですが、何度も挫折しながら挑戦し、その度に落ち込みながらも、さらに自分を進化させていくのでしょう。この作品は、恋に落ちた二人が支え合いながらそれぞれの夢を実現させようとする姿を私たちに示しながらも、少しの人生のかけ違いが別の人生を生み出していくことを教えていますし、それらの人生すべてが、実は素敵なことなんだということを私たちに教えてくれているような気がしました。ジャズのお店を開くのは二人の夢でした。そこで演奏する曲は、二人にもう一つの人生があったかもしれないことを見せてくれますが、それはそれで演奏と同時に終わってしまうのです。人生はどうなるのかわかりません。しかし、二人の再会は後悔ではなく、そんな夢を見せてくれた二人の時間の共有に感謝したのでしょう。そんな作品ゆえに、私には「人生を語っている素敵な作品だなあ」と感じさせてくれました。実は、ヒロインが最後のオーデションで語る祖母のセーヌ川に飛び込む話を聞いて、私は涙が出ました。実現しなかったけれども、祖母のその話は自分の人生に後悔はないということをさりげなく教えていたからです。ここでも人生のすばらしさということを伝えていたと思います。


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by shin-pukupuku | 2017-05-09 09:08 | 映画 | Comments(5)

海角7号

 タイトルの映画をDVDで見ました。前回に続いて、台湾映画です。この映画は、今から10年ほど前に大ヒットした作品で、タイタニックに次ぐ興行収入であったと解説には書いていました。今回も近くの研究室の先生からお借りしました。
 映画のストーリーは、台北でロックシンガーとしての夢破れた青年が、故郷の恒春に戻ってきます。恒春は台湾本土の最南端にある町です。過疎が進む恒春の街おこしの一環として町長自ら、日本の有名歌手コンサートを開催し若者を呼ぼうとします。その前演奏の地元音楽グループのシンガーとして、その青年が指名されますが、未熟なグループ仲間の演奏に意欲を失い、本気になれません。日本から歌手を呼んだ恒春にやってきた日本人女性は、このコンサートのプロデューサーとして、奔走しますが、青年のやる気のなさに怒りさえ感じるようになります。しかし、二人はやがて惹かれあっていきます。そんな時に、戦後、台湾を去って行った日本人男性の恋文を見つけます。そこには、台湾に残していった「民子」という女性への愛が綴られていました。…
 ストーリーがとてもよく構成されていて、次第に引きずり込まれていきました。基本的にコメディ仕立てなのですが、最後は涙が出てきます。基本的には台湾の人たちの心の思いが流れているのではないかと思いました。
 なかなかおもしろい作品でした。興行収入がすごかったのも分かるような気がしました。ちなみに日本人の有名歌手は「中孝介」でした。この映画を通して「中孝介」は台湾で有名な日本人歌手の仲間入りをしたと思われます。

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by shin-pukupuku | 2017-04-25 09:29 | 映画 | Comments(0)

「非情城市」を見て

 ずっと探して見たいと思っていた台湾映画です。近くの研究室の先生が、DVDを貸してくれました。大喜びで早速鑑賞することでした。
 この作品は1989年に侯孝賢監督によって製作された作品で、主人公はトニーレオンです。その年のヴェネツイア国際映画祭で金獅子賞を受賞した有名な作品です。この映画は台湾で1947年に起こった2・28事件を初めて描いた作品でした。
 この映画を見ると台湾の日本植民地からの解放後の歴史が理解できます。
 主人公は林家ですが、そこには4人の兄弟がいます。その4人の人生が台湾の重い歴史を物語っているように私には思えました。次男は日本の兵士として徴用され南方に送られましたが、戦場から戻ってきません。三男は、中国からやってきた上海ボスとのアヘン密輸で密告され、国民党の警察に逮捕されます。そして拷問によって知的障害となってしまいます。長男は、地域の勢力争いで命を落とします。四男であるトニーレオン役の文清は、耳が聞こえません。写真屋として店を開き生活していましたが、二・二八事件の関係者としてとらえられ、最後は帰らぬ人になってしまいます。
 それら、林家の兄弟の運命は、まさしく台湾の歴史と重なっていたと私は思いました。特に、二・二八事件以後の国民党による弾圧は多くの知識人を逮捕投獄し、命を奪っていったのです。それが明らかになったには、1980年代からだったのです。
 この映画は、台湾の人びとがいかに歴史に翻弄されてきたかを林家を通して描いていると思いました。全般的に暗い映画ですが、見る価値はあると思います。

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by shin-pukupuku | 2017-04-19 09:19 | 映画 | Comments(0)

朝ドラ「ひよっこ」

 本年度4月からの朝ドラは「ひよっこ」ですが、今朝のドラマは高度経済成長期の昭和の雰囲気を感じさせる素敵な15分でした。
 「ALWAYS 3丁目の夕日」でもそうでしたが、高度経済成長期の時代は、経済的に豊かになり人びとの暮らしも便利で豊かな社会の到来を感じさせる希望が持てたゆえに、映画やドラマに作品化すると、よき時代であったなあという感慨を視聴者に持たせてくれます。ひよっこでも、都会の東京といなかの茨城県農村部が対比され、家族的なつながりの深さを感じさせるドラマになっています。私も本日の作品を見ながら、1960年代の家族の状況を思い出していました。
 当時、私は小学校入学前から入学時。たしかに、貧しさがあり不便ではありましたが、とってもあったかい家族の雰囲気がありました。亡父は国鉄の車掌もしていた時期もありましたが、線路下の自宅を急行が通る時に、決まっておみやげを電車から投げてくれました。私と兄弟姉妹は、その時に線路下の自宅庭に出て、父親の投げるおみやげをキャッチするのがとても楽しみでした。(今の社会ではおそらく処分ものでしょう)
 希望の持てる社会というのは、人びとの心を温かくしてくれるのでしょう。しかし、その一方で過疎と過密の問題が起こり、公害問題も深刻になっていたわけです。そのことをどのように「ひよっこ」では描くのでしょうか。少し楽しみです。
 今回の朝ドラは、現在の社会に対するアンチテーゼかもしれません。若者も労働者も高齢者も希望が持てなくなっている現在の社会に対する痛烈な批判を織り込んでほしいと思います。

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by shin-pukupuku | 2017-04-06 09:50 | 映画 | Comments(0)

「天使にショパンの歌声を」

 1960年代、カナダのケベック州を舞台にした映画でした。ケベック州はご存知のように、フランス語圏です。そのために、フランス語の映画作品となっています。カトリックの修道女が教師として教える寄宿学校の話です。この学校は、音楽学校として少女たちの教育に力を入れていて、成功していましたが、社会背景として政教分離の政策が始まった時代に、学校存続に力を尽くした修道女たちの話でした。
 最終的には、修道女や少女たちの努力にもかかわらず、学校は閉鎖されてしまう結末ですが、最後のクライマックスでは、観客の涙があちこちから聞こえました。私も涙腺がゆるんでしまいました。なぜだろうと思うのですが、やはり、教師たちの音楽学校としての教育に誇りを持ち、教師集団の同僚性、寄宿舎の少女たちへの熱い思いに感動したのだと思います。そして、生活面において問題を抱えた少女が、最後のコンクールで金賞をとり、みんなで喜び合う姿に心を打たれたのでしょう。
 教育のすばらしさに触れたと思いました。そして、修道女の教師たちが、誇りと信念を持って権力者に対して抵抗する姿に心惹かれたのだと思います。素敵な作品でした。

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by shin-pukupuku | 2017-04-02 09:53 | 映画 | Comments(0)

「湯を沸かすほどの熱い愛」を見て

 第一印象は、生きることのきびしさ、悲しみ、喜び、そして希望を伝えた映画であったと思いました。そこには、人間的なつながりが重なり合っていました。最後の風呂場での葬儀のシーンなどは、生きることを教えてもらった人たちが優しくにこやかに主人公である双葉(宮沢りえ)を見送っていました。余命2ヶ月という設定は当然悲しみを何度も湧き起こします。しかし、それ以上に親子の絆を中心とした人間的なつながりがクローズアップしていたように思いました。親子っていったい何だろうという思いを見ている人たちはぼんやりと思ったはずです。
 この映画で宮沢りえは日本アカデミー賞主演女優賞をとり、武咲花は新人賞と助演女優賞をとりました。たしかに二人の演技は印象深いものがありました。特に、武咲の演技は、新人とは思えないほどの演技力があったと思います。表情や態度、そしてセリフがさまざまな場面で声にならない心の揺れ具合を感じさせてくれました。
 この日本映画は、何度見てもあきない作品に仕上がっていたと思います。

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by shin-pukupuku | 2017-03-14 09:40 | 映画 | Comments(0)

ママ、ごはんまだ?

 上記のタイトルの映画を新宿の角川テアトル新宿で見ました。1か月ほど前に見ようとしたのですが、客席が満席で見れず、今回、満を持して観ることができました。
 原作は、一青窈の姉、一青妙の作品です。先日、このブログでも紹介しましたが、一青窈と一青妙は日本人と台湾人のハーフであります。父親は台湾では財閥の一つであった顔家の出身です。早稲田大学で学び、日本文化にどっぷりつかった父親は、戦後の台湾に戻ります。しかし、その台湾での暮らしは苦悩の中にあったようです。
 この映画でもそのことが描かれていましたが、主人公は石川県出身の母親のことでした。父親に見染められて台湾に渡りますが、そこで台湾料理を覚え、日本に戻ってきて、母子家庭の暮らしの中でも、台湾料理を作り続けていくのです。食べることが命をつなぐものであり、台湾料理はその命を生み出すものでもありました。おいしそうな台湾料理がたくさん映画の中では出てきました。映像を見ながら、また台湾に行きたいなあと強く思いました。
 母親はやがて胃癌でなくなりますが、妙は母親の思いをさがすために母親の故郷や台湾の顔家を訪問します。そして、自分と妹がいかに両親から愛されてきたのかを知っていくのです。かすかに覚えている顔家邸宅での父母が埋めた壺は、自分と妹の結婚式のために家族が願った紹興酒だったのです。
 台湾の魅力と同時に、台湾と日本のルーツを持つ一青妙が、自分のアイデンティティをさぐる映画でした。その中には、一つの家族を通したいのちのつながりと、家族愛が見事に描かれていたと思います。人を大事にした魅力的な作品に仕上がっていたと思います。
 実は今読んでいる本は、一青妙の台湾ガイドブックなんです。台湾の魅力が写真とともにたっぷり詰まった本に仕上がっているのですが、やはり「食」についてはずいぶんとこだわって書いています。その背景には、母親への思いと母親から学んだ自分自身のいのちがあるのだと思いました。私も12月での台湾訪問の時、台湾での「食」の豊かさに驚きましたが、自分の中では台湾がますます魅力的なところになってきています。

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by shin-pukupuku | 2017-03-08 17:27 | 映画 | Comments(0)

「サバイバルファミリー」を見て

 タイトルの映画を見ました。時間つぶしの映画でした。映画を楽しむには良いのかもしれませんが、優れた映画作品ではありません。
 予告編を見て、少し期待していた部分はあったのですが、漫画のような映画でした。テーマは家族の絆がまず一つ。それから、現代社会の便利さに対していかに私たちは頼りすぎているかという依存に対する批判でしょうか。
 主人公の家族の母は、故郷が鹿児島です。娘は、鹿児島のいなかさがいやだと何度か台詞で述べます。ストーリーは地方の生活の豊かさを示していくので、結局、鹿児島がいなかで過ごしにくいという話は消えていくのですが、鹿児島人としてはやはり気になりました。
 笑える場面も何度かありますので、楽しめる映画なのですが、少しもの足りない映画でした。

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by shin-pukupuku | 2017-02-19 10:15 | 映画 | Comments(0)

「愛妻家宮本」を観て

 タイトルの映画を娘といっしょに新宿で観ました。最初の予定では別の映画を計画していたのですが、1時間以上前にチケットを買おうとしたなのに私たちの前で満席。やむなく、場所を変えて、この映画を見ることになりました。
 映画の設定は、中学校国語教師で、50歳。副校長試験を受けず、生徒たちといっしょに担任として教育していく決意をしています。ひとり息子は結婚して福島の新聞社に就職して家を出て行きます。マイホームでは、妻とふたり過ごすことになりますが、ふとしたことから、書棚の本の中に、妻が書いた離婚届を見つけることになります。
 同年代以上の夫婦は、子育てが終わって中年夫婦となり、同じ様な状況を経験しているのでしょう。観客は満席でしたが、この映画は笑いあり涙ありで、結構楽しむことのできる映画でした。基本的に喜劇です。阿部寛がなかなかいい味を出していました。
 私がその中で感じたのは、教師の魅力でした。クラス担任の宮本は、生徒たちからはあだ名で呼ばれるほど、親しみを持たれていますが、女生徒から「教師に向いていない」「優柔不断」と言われるように、体育教師のような生徒指導モーレツではありません。むしろ、料理教室に通って、料理づくりに目覚め、学校に料理研究会同好会を立ち上げるような教師です。一見、軟弱で頼りがいのない教師ですが、実は「優しさ」にあふれています。そして子どもの立場に立って物事を考えようとします。
 私の目指した理想的な教師でした。
 結局、現実はきびしく、私はなかなかこの映画の宮本のように、心をつかみながら優しさで包むような教師にはなれませんでした。だから、私はこの宮本を尊敬しますね。生徒からきびしい事を言われますが、それを受け止めながら成長していくところは、宮本の人間性あふれるところなのでしょう。
 この映画はいろんな見方ができると思いますが、私はふと理想的な教師という視点で見てしまいました。映画のテーマは別のところにあることは明らかでしたが…。

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by shin-pukupuku | 2017-02-13 09:23 | 映画 | Comments(0)