フクシマのデータ

 日野行介・尾松亮『フクシマ6年後消されゆく被害ー歪められたチェルノブイリ・データ』(人文書院)を読みました。
 フクシマの被爆データがごまかされようとしている現状を知って、背筋が凍り付くような感覚を覚えました。そういえば、最近マスコミなどで、フクシマの原発事故後の住民データのことなど聞かなくなりましたね。流れてくるのは、避難地域の解除のニュースだけです。それを聞いていると、被爆後の地域での復興が進んでいるような印象を持ちます。
 しかし、たしかに除染作業が進んだとしても、実際のところ被爆地域での放射能汚染はどうなっているのかということはよくわかりません。そのために住民の健康診断を定期的に行い、甲状腺がんなどを発見していくことが求められています。そしてそのデータは今後の科学的知識として後世に伝えられていく貴重なデータになるはずです。
 チェルノブイリ事故では、汚染地域全域でチェルノブイリ法なるものが制定され、全被災者対象の生涯続く健診という規定があり、被ばく量も年間1ミリシーベルトという厳しい数字が明記されているのだそうです。
 日本でも、たしかに「子ども・被災者生活支援法」が成立し、定期的な検診や甲状腺がんになったときの医療費免除を認めようとする法案ができています。
 ところが、日本の法案はチェルノブイリ法を骨抜きにしたもので、年間被ばく1ミリシーベルトどころか、20ミリシーベルトになっているというのです。それは、政府関係者ができるだけ被災地域へ帰還を目指し、現状としては実験的な被ばく帰還になっていると説明します。そのために、定期的な健康診断をできるだけ骨抜きにし、データ処理についても意図的な発表が見られるということでした。
 まるで、現政界の大問題となっている公文書書き換えと同じような感覚を覚えます。
 ひょっとしたら、まだ住んだらいけない地域なのに、年間被ばく量基準を高く設定し、できるだけ金のかからないような形での原発事故の終息を狙っているということも考えられるわけです。
 チェルノブイリ法では、800kmも離れた地域でも(日本で言うとフクシマから茨城ほどの距離だそうです)定期的な検診と医療補助を認めているのだそうです。ところが、フクシマでは被爆地近くの帰還困難地域をさらに縮小しようとしているのです。
 この本は一つの勇気ある警鐘となるものだと実感しました。筆者は、毎日新聞の記者とロシア語に堪能で日本の法制化において有識者として呼ばれた研究員のようです。

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by shin-pukupuku | 2018-06-10 18:20 | | Comments(0)

なにやら思いついたことをつれづれなるままにⅡ


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