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ぷくぷくの社会を見つめ直すⅢ

カテゴリ:本( 275 )

タテカン

『世界』5月号に掲載されていた「タテカンの空間論」、なかなか面白かったですよ。京都大学博士課程の院生の論考ですが、私はこの手の論考は好きですね。
 京都大学は昨年5月に「立看規程」を施行して、それまで自由だったタテカンの設置が実質的に禁止されたようです。その禁止は京都市の屋外広告物条例をもとにして、大学内にも適応したという大学側の説明なんだそうです。著者はそれに対して表現の自由という視点だけではなく、大学と街をつなぐ空気感が失われてしまうと批判しています。
 タテカンは大学と都市をつなぐ空間の中でその意義を空気として漂わせていたという仮説がなかなか面白いと思いましたね。

by shin-pukupuku | 2019-04-15 07:14 | | Comments(1)

大澤真幸『社会学史』(講談社現代新書)

 この本は抜群に面白いですね。
 630ページにもおよぶ大著ですが、新書版というのがまたいいですね。専門家向けではなく、社会学に興味のある一般の読者に、社会学の歴史がわかるように具体的な例をもとにして書かれています。
 とてもわかりやすいので、興味を惹かれるのでしょうか。昨日はスタバとドトールでそれぞれ1時間ほどコーヒーを飲みながら、読み味わっていました。昨日の内容は、タルコット・パーソンズの「構造ー機能主義」についてでした。パーソンズは、1940年代から60年代ぐらいに世界で最も影響力があった社会学者のようです。
 この本では、学者の主張した学問的内容だけでなく、その人物の家庭状況や当時の社会情勢などについても書かれていますので、読みやすいのだと思います。やっぱりなんといっても、「たとえ」をうまく活用して、どのようなことをその学者が述べているのかをコンパクトに説明しているところがとてもわかりやすくて、どんどん本に引き込んでくるようです。
 ページ数が多いので最後まで読むのになかなか歯ごたえがありますが、その分読み応えもありそうです。

by shin-pukupuku | 2019-04-14 11:45 | | Comments(3)

内田良『学校ハラスメント』(朝日新書)

 一気呵成に読み終えることができました。学校現場を教師として経験的に知っているものとしては、取り上げているさまざまな事例について相づちを打ちながら読むことでした。特に、部活動の真由子先生のブログ記事は、身につまされる感じで読みました。私も何度、同じような場面を見てきただろうかという感じでした。
 著者の内田は「ハラスメントが教育の日常に埋め込まれてい」て、その「ハラスメントを直視」することが大事であると述べています。学校ハラスメントとして、教師による「暴力」、巨大組み体操、スクール・セクハラ、部活動、教師の暴力被害などを取り上げて、どのような意味で学校ハラスメントなのかを説明しています。
 私は、内田はもう少し過激な主張をする研究者なのかなと先入観を持ってみていましたが、その主張は、けっして過激ではなく、現場教員経験者としての私も共感できるところが満載でした。彼は、教育に科学的知見を取り入れて、リスクを軽減していくことを本丸としています。リスクだけでなくベネフィットについてけっして見逃しているわけではないのです。
 この本は新書ですが、学生といっしょにゼミで読み合わせて議論していく際の教材になり得ると思いましたね。

by shin-pukupuku | 2019-03-29 10:23 | | Comments(0)

『未来の年表』『未来の年表2』

 人口減少日本において、これから社会で起こること、自分に起きることをデータに基づいて予想した書です。読み進めていくと、これからの日本社会が少子化と高齢化によっていかに人口が減少し、悲観的な社会になっていくかを感じることでした。
 まず、2017年に総人口が約40万人減少したことに驚きました。これは宮崎市よりも多い数です。2050年代には毎年90万人規模で減っていくとありました。このような社会においては現在の成長発展する社会という価値観を変えざるをえないことを筆者は主張します。縮んで行く社会が別に悪いことではなく、それを想定して対応していくことが大事なのだと筆者は述べています。
 読み進めていくとこれからの日本社会に対して悲壮的な気分になっていきますが、筆者は最後に8つの個人や企業ができるメニュウを示しています。「働けるうちは働く」「一人で二つ以上の仕事をこなす」「家の中をコンパクト化する」「ライフプランを描く」「年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する」「全国転勤をなくす」「テレワークを拡大する」「商店街は時おり開く」というものです。
 これから高齢者になっていく私たちの世代にとってはかなりきびしい社会が待ち受けていることでしょう。上記の8つからは、「働けるうちは働く」ということを私もやっていく必要があるのかなと思うことでした。余生を優雅に過ごすという時代はこれからはやってこないことは明らかのようです。

by shin-pukupuku | 2019-03-26 17:56 | | Comments(0)

NHKの…

 丸山俊一+NHK「欲望の時代の哲学」制作班『マルクス・ガブリエル欲望の時代を哲学する』(NHK出版新書)を読みました。NHKBS1スペシャル「欲望の民主主義」と「欲望の資本主義」の番組で制作班が実際に社会で進行する分断や拡大する格差についてインタビューしたのが、ドイツの哲学者マルクス・ガブリエルであったようです。私も番組を見たような気がするのですが、細かいところまでは記憶にありません。
 この本はガブリエルの哲学を正面から伝えようとしているのではなく、随筆風にわかりやすく語りかけているようです。その中で、戦後の哲学が実存主義から構造主義、そしてポスト構造主義へと変化していったことを説明していました。そして現在の社会をガブリエルは、新実存主義で説明しようとしているようです。特にSNS社会になって、これまでの哲学では説明できない状況をとらえていく必要性を教えてくれていたと思います。ドイツと日本の違いが最後の方でありましたが、ドイツには国民の共通理念としてドイツ観念論の哲学が根付いているということでした。
 哲学者の話は、難解なところがたくさんありますが、一面的にしか見えていない私たちに、広い視野から諭してくれるので、目を見開かされる気がして、なかなか面白く感じてしまうことも多いのです。

by shin-pukupuku | 2019-03-23 16:53 | | Comments(0)

保護者から見たいじめ

 鈴木真治『うちの子もいじめられました 「いじめ不登校」から「脱出」まで150日間の記録』(WAVE)出版を読みました。保護者から見たいじめの本です。保護者としてわが子のいじめに対して学校側とどのように対応していくのか、成功した体験談の本はきわめて少ない印象がありましたので、考えさせられる本となりました。
 第一印象は、いじめによって被害者がいかに精神的に追い込まれるのか、そしてそれは本人だけでなく子育てをする保護者がいかに苦悩するのかということを実感することでした。わが子を守るために保護者はどのように対応すべきなのか、それについても学べる書であったと思います。
 いじめを生んでしまった学校・学級の状況は、私も経験がありますので、他人事とは思えませんでした。そして、いじめがいかに関係者に悲しい思いをさせるのか、そのことを考えることでした。
 学校の教師はどのように対応することが必要なのか、そのことを保護者の思いを知ることで学べるのではないかと思います。教師の苦悩についても私は考えることでした。ただ、大事なことは組織的な対応を具体的に実行し行動することがいじめ対応には求められるということだということを改めて確認できました。

by shin-pukupuku | 2019-03-22 08:41 | | Comments(0)

売れているのか?

 私の初めての単著『いじめ問題関係判決書の教材開発といじめ授業』の販売状況をネットサーフィンしていました。教育問題部門の売れ筋では上位にあるので、それなりに売れているのでしょう。アマゾンで取り扱っているお店もアマゾン本店だけになりましたし、紀伊國屋書店は取次店取り寄せになっているようです。明らかに、在庫がなくなっていることがどことなく見えてきました。
 ということは、売れているということなんでしょうかね?
 ネット上なのでまったくわかりませんが、タイトルと表紙絵と目次の私の販売戦略にまんまとのってしまっているのかもしれません。下手をすると、あと1ヶ月もしないうちに完売になるかもしれません。ネットサーフィンしながらにこにこしてしまいました。
 おそらく増刷はないと思います。それについては、出版社とまったく話題にもしていませんでした。在庫がなくなったら、私の研究室に置いてある本を売ってくれないかなあ。私が実売したのは、たったの1冊。しかも、格安料金でした。なんとかならないかなあと思っているところです。

by shin-pukupuku | 2019-02-08 06:23 | | Comments(0)

今月号は…

 先日送られてきた『歴史地理教育2月号』を読破しました。
 テーマは「東日本大震災後8年後のいま」というもので、被災地に住む者としては興味を惹かれるものでした。
 その中で私が参考になったのは、森本晋也「震災を生き抜いた子どもたちに学ぶ」という論考でした。現在、私は防災学習の研究をしていますが、釜石の奇跡でいったいどのような学習がなされていたのかということについて、問題意識がありました。この論考は当時の中学生であった二人を呼んで後輩たちに語る学習会について記しています。その一人は、理科の地震発生のメカニズムの学習を述べています。地震が起こったときに、「これはプレート海溝型の地震だ、津波が来る」と直感し、避難したと記されていました。
 釜石市は震災前に群馬大学の片田敏孝教授の指導を受けていたというのは有名な話ですが、論考の著者は当時釜石市の中学校に勤務していて、「津波災害に関するフィールドワーク」や「地震を体感する学習」「地域防災啓発DVDの作成」などに取り組んでいたということでした。それらの学習が実際の地震に遭遇したときに、生きる力となって「釜石の奇跡」が生まれたようです。
 著者は、防災教育に必要な要素3点を示しています。「課題意識」「学習の主体性」「家庭・地域との連携」です。これは私の研究テーマに関わる重要な視点として参考にしていきたいと思いました。

by shin-pukupuku | 2019-01-28 06:30 | | Comments(0)

藤原辰史『給食の歴史』を読む

 今月の岩波新書の1冊です。給食の歴史がこれほど奥深いことがあったのかと読みながら学んでいます。
 著者は、萌芽期、占領期、発展期、行革期に分けて、給食の歴史を紐解いています。
 たとえば、萌芽期については、地震、戦争、不況、冷害などによって国民の生活の崩壊が社会問題となり、給食の重要性が認められるようになったこと、貧困児童の救済、教育の効果、栄養学による科学化、スティグマの回避、災害対策としての有用性などによって給食の制度が次第に取り入れられるようになっていくことを紹介していました。
 給食は、それぞれ一人一人に思い出があると思います。それだけ、生きる力の基盤になってきたのだと思います。日本人の心に刻まれ、体となってきたのでしょう。
 現場を離れ、給食を食べられなくなって5年になります。現在は昼食を、学食で食べたり、パンをかじったりしていますが、やはり今考えると、給食システムは良かったなあと思います。なんといっても健康栄養面で心配することがありませんしね。たしかに給食指導は面倒で、とても嫌でしたが、お話をしながら食べられるというのは幸せなことだったなあと思います。今ではほとんど一人でもくもく食べている状況ですから。しかも偏った栄養ではないかと思いながら、食べているわけです。

 

by shin-pukupuku | 2018-12-08 09:56 | | Comments(0)

『虚偽自白を読み解く』を読む

 浜田寿美男『虚偽自白を読み解く』(岩波新書)を読みました。
 非常に興味深く一気に読破しました。
 浜田氏は冤罪における虚偽自白に注目し、その自白がどのように完成するのか、その過程に注目しています。冤罪が生まれる過程における心理学的分析をこの本で示し、将来的に心理学を活用した冤罪の抑止防止を目指しているのです。
 ただ、この底流には、心理学の科学性が問われているような気がしました。司法は果たして心理学を科学として見ているのか。その点が大きなネックになっているような印象を持ちました。
 しかし、取り調べの過程に注目して、その分析から虚偽自白なのか、本当の自白を読み解くという視点は非常に重要な指摘だと思います。取り調べの可視化が要請されている中で、今後、心理学的な視点からの分析は可能ではないかと思いました。
 心理学は、歴史的に科学的な分析に力を入れて認知されてきました。日本の司法はその心理学に対して信用性を高めていくのか、今後の動向を注視したいと思います。

by shin-pukupuku | 2018-09-18 08:20 | | Comments(0)